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広島戸田 4失点“ホロ苦”プロ初勝利

2014年07月17日 13:49

<広島11-7DeNA>◇16日◇マツダスタジアム

 反省の初星から、さらなる飛躍を-。広島の3年目左腕、戸田隆矢投手(21)がDeNA戦に先発し、5回4失点でプロ初勝利を飾った。4点リードを追いつかれ、味方打線に勝ち越してもらってのホロ苦白星だったが、前半戦最終戦を勝利に導き、後半戦スタート時の先発ローテ入りを確実にした。

 地獄は一瞬で天国に変わった。5回裏1死満塁、8番会沢が勝ち越しの遊撃内野安打を決めた。その瞬間、一塁ベンチで戸田はパンッと手をたたいた。4点リードの5回に4失点したが、打線の援護に助けられてのプロ初勝利。「5回に打たれてしまったけど、それでも初勝利はうれしいです」と頬を緩ませた。

 女手一つで育ててくれた母圭子さん(43)が地元の兵庫・神戸から車で球場まで駆けつけていた。「中学、高校時は結構、迷惑をかけた。毎回、母が来た試合は負けていたので、勝てて良かった」。誕生日や母の日に何かを贈った記憶はないと言う。「照れくさくて。母の日に、偶然その日になっただけで意味はないし、という雰囲気を出して電話したことはありますけど(笑い)」。ウイニングボールは初めての贈りモノだ。

 細身の体形が悩みの種。「すぐ体重が減っちゃうんです...」。試合中もひそかに体重増作戦を実行してきた。中継ぎでブルペン待機中、肩を作らないタイミングを見つけては食堂に足を運んだ。身長181センチで樟南3年時は66キロ。朝昼晩の3食に複数回の間食を加え、現在は71・5キロまで増量に成功。「体重が重くなってスピードも上がった。もっと太りたい」。この日は最速147キロを記録した。

 高校2年夏、主戦投手として県大会決勝で鹿児島実戦に1-3で敗れた。緊張から深夜4時すぎまで眠れず、わずか2時間睡眠で臨んだ結果だった。練習試合で気持ちが切れて、10失点した試合もあった。「でも今は違う。立場が変わって、野球が仕事になったわけですから」。体だけでなく心も成長したから、4失点後もなんとか5回を投げ切れた。

 9日、阪神戦に中継ぎ登板した夜、うれしい電話をもらった。深夜0時半。オフに自主トレを共にし、現在は左肘痛で長期離脱中の「師匠」久本からだった。「フォアボールなんて気にするなよ! ゼロに抑えればいいんだから」。眠い目をこすって、声を届けてくれた優しさに白星で応えてみせた。「本当にこの日を待ち望んでいた。これからどんどん結果を出していきたい」。反省の残る初勝利は、必ず次への糧にする。【佐井陽介】

 ◆戸田隆矢(とだ・たかや)1993年(平5)6月10日、兵庫県生まれ。鹿児島・樟南では高3夏に県大会準々決勝で敗退し、11年ドラフト3位で広島入団。1年目の12年から1軍先発を果たし、昨季までの2年間で1軍4試合登板で0勝2敗、防御率9・82。推定年俸550万円。181センチ、68キロ。左投げ左打ち。

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